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コラム: #鼻血 #美味しんぼ 問題の第604話を読んでみた所感:「反応がヒステリックすぎる」(連投ツイートまとめ)

 
「美味しんぼ」第604話読了。
 
なーんだ、こんなものか。この程度の描写に、鼻血否定派の多くは、「福島の真実」編の全体のコンテクストやその比重もまるで把握することなく、当に「木を視て森を視ず」といった感じで的外れな炎上キャンペーンを展開しているのか。やはり百聞は一見にしかずだった。
 
「美味しんぼ」604話は、2011年11月から6度に渡る現地取材を行ってきた山岡たち合同取材クルーが、2014年3月に福島第一原発の敷地内を見学した後で、山岡がひどい疲れを感じて、家族と団らんする夕飯の席で鼻血を流す姿を描いている。
 
フクイチの現地取材で山岡たちは、3号基の前で1時間当たり1680μSvの放射線に被曝している。作中では「浴びたのは数秒間」「被ばく量は安全基準よりはるかに下」と山岡と取材した東西新聞社のライバル記者が取材報告会で報告しているシーンも描かれている。
 
 
つまり、山岡たちは一般に福島の住民が立入を許される領域よりも高線量の領域に立ち入っており、その時点で取材スタッフの中に高線量被曝の影響があってもおかしくないという前提はあった。作中ではあくまで「数秒間なら問題ないだろう」とそのこと自体は問題視していない。
 
最新の「福島の真実」編第110集を読めば、長い作家人生の中で福島の食の文化に「畏敬の念」を持って接してきた雁屋氏の福島の食を支える人たちへの愛情と福島が直面する現実への強い憤りを感じ取ることができる。氏には断じて風評など広める意図はないと断言できる。
 
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「加えて、氏が福島について厳しい意見を言う言葉の本質には福島の人々や土地にそもそも抱いていた畏敬の念があると記者は話を聞いていて感じた。かつて『美味しんぼ』での取材活動を通じて、交流をした東北地方の「食」「人」「土地」を愛するがゆえの物言いである。」日豪プレス記者
 
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第110集では、雁屋氏が山岡たちという作品のキャラクターを通じて、福島の食の豊かさやそれを必死に支え続ける人びと、そしてそれが失われることへの慟哭の思いがひしひしと伝わってくる。やはり、この人は食を愛してやまない人なのだ。だから憤りは他に向けられている。
 
「福島の真実」編の’前半’と銘打たれる第110集は、全11編で構成されており、そのほとんどが福島の食の事情の「真実」を追求する内容に費やされている。'前半'だけでこのボリューム。「福島の真実」編第22話に当たる第604話は、その相当後に描かれた作品だ。
 
BIG COMICスピリッツが『全日本人必読!』と銘打つこの「福島の真実」シリーズは、被災後3年に及ぶ緻密な現地取材の結晶である。そこには、現地にいる人ですら知られざる、取材を通して初めて明らかになる事実が散りばめられており、福島への愛が込められている。
 
作者の雁屋氏はたしかに反原発であることを日豪プレスの取材で表明している。
 
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ーー雁屋さんは、原発には反対の立場ですよね。
雁屋「反対です。原発を止めても電力不足は起きていない。電気代が高いと産業が稼働できないから原発を再開してくれ、安くしてくれと言うけどよく考えてほしい。長い目で見て原発を動かすということがプラスになるのかマイナスになるのかということを。原発にはもはや経済性は何もないのです」
 
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しかしその憤りの多くは政府や東電、規制当局等のいわゆる’原発ムラ’に向けられたものであり、これを糾弾する意図はあっても福島の人びとを貶める意図などまるでないと思われる。
 
むしろその逆だ。
 
単行本第110集で作者は、2011年11月時点の福島で、農家がいかに苦心して商品を売ろうとしているか、安全基準をクリアすることに腐心しているかを克明に描き、一種「食べて応援」と思えるような描写すら行っている。これは、実際に読んでみればわかる。
 
雁屋氏は第110集で、風評よりもシビアな、業者の買い控えにより財政的苦境に陥っている農家を描き、その真の要因は「解決できない放射能の問題そのものである」ことを登場キャラの弁を借りて問題提起している。つまり有効な対策を講じていない行政を批判しているのだ。
 
雁屋氏は「福島の真実」全篇を通して、福島の食に対する愛着と、この豊かな、誇るべき食文化を育む土壌が失われていることを嘆き悲しみ、その憤りを登場キャラたちに代弁させている。食を愛する彼は、食を守る人びとのことも愛している。だからこそ、憤りを隠せないのである。
 
長大な「福島の真実」シリーズ全22話(いま現在)の後半のほんの一話で、ほんの1・2頁のコマ数で鼻血を出す主人公のことを描いた。そのことで、作品そのものや、このシリーズを全否定するのは筋が通らない。まさに「ヒステリックな反応」といって差し支えないだろう。


転載元: 幸せの青い鳥

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[ 2014/05/04 21:44 ] 経済 | TB(0) | CM(0)

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